輪島たいむす

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田の神様に感謝する「あえのこと」が営まれました

「北國新聞」HPより

www.hokkoku.co.jp

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国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産である農耕儀礼「あえのこと」が5日、奥能登各地で営まれた。
輪島市白米(しろよね)町では公務員川口喜仙(よしのり)さん(56)が田の神様を自宅に招き入れ、一年の実りに感謝した。

午前10時、紋付き袴(はかま)姿の川口さんは菅笠を手に国名勝「白米千枚田」近くの棚田に向かった。
米、塩、お神酒で清めた後に鍬(くわ)を入れ、目が不自由な夫婦神を自宅に迎えた。

神様をこたつや風呂に案内した後、干し柿やおはぎ、ブリの刺し身など山海の幸でもてなし、「コロナ禍でバタバタした一年だったが、無事に農作業ができたのは神様のおかげです」と語りかけた。

今年は新型コロナの影響で留学生ら学生の見学者はおらず、ひっそりとした儀礼に。
川口さんは「神様に感謝することは毎年やって当たり前。この先も続けていく」と話した。
来年2月9日に神様を田に送り出す儀礼が行われ、豊作を祈願する。

 

 

あえのこと

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世界無形文遺産(ユネスコ)登録(平成21年11月)

12月5日、田の神様を自宅に招き入れ、風呂場に案内した後、座敷でご馳走を捧げる。
山盛りのご飯に味噌汁。
煮物や焼き魚などを供えて栗の木の大きな箸をつける。
やがてそのお下がりを家族全員で分け合っていただく。

2月9日、家で越冬してもらった田の神を送り出し、その年の一年の豊作を祈る。

もともと地域の行事ではなく、各農家の純朴な原始信仰につらなる慣行であるため、儀式の様式は農家により様々である。

『あえのこと』の「アエ」は「饗応(もてなしをすること)」を、「コト」は「祭事」を意味するといわれている。
田の神様は目が不自由な夫婦神であるという説が一般的である。
目が不自由な理由として、長い間土の中にいたからや、稲の穂先に目を突かれたからだとか。

現在では、農家であるないに関わらず「食への感謝」という意義を含めて、広く伝承していくために三井の里・茅葺き家屋「旧福島邸」で再興した。