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医療事故で新生児死亡「輪島病院」5825万円を賠償

「中日新聞」HPより

www.chunichi.co.jp

石川県輪島市立輪島病院の産婦人科の不適切な医療で新生児が昨年六月二日、重篤な状態で生まれ、ドクターカーで転送された金沢市内の病院で死亡した。
市は全面的に責任を認め損害賠償として五千八百二十五万円を支払う。
坂口茂市長らが六日、記者会見し医療ミスを認めて陳謝した。

東京都内在住でこの病院で里帰り出産を予定していた妊娠三十五週の妊婦が早朝に出血し、破水を疑って受診し、入院した。
容体が安定しており主治医は早産だが、お産は進んでいないと判断。有給休暇を取り正午前に一度病院を離れた。

妊婦は出血が続くなど容体が悪化し、午後四時前に主治医は病院に戻ったが、帝王切開による出産や、より高度医療を提供できる他院への転送などをしないまま出産となり、新生児は移送先で翌三日に死亡した。

妊婦は子宮に胎児がいる状況で胎盤が子宮の壁から剝がれてしまう常位胎盤早期剝離を発症していたが、見逃された。
病院を離れていた主治医の指示で行われた薬剤投与も、妊婦に説明と同意がなかったという。

市側は、多量の出血を見た助産師が常位胎盤早期剝離の可能性を感じながら主治医に伝えなかったことも明らかにした。
病院は医師が助産師の意見に取り合わない状態になっていたことを示した。
病院は再発防止策で医療従事者同士の意見交換の徹底も挙げた。

院内の医療事故調査委員会は▽主治医が妊婦を残して病院を離れた▽助産師らとの情報共有がされなかった−ことを主たる要因と結論づけた。
適切な医療が提供されれば母子ともに健康に退院できたという。

会見で坂口市長は「ご遺族に対しまして取り返しのつかないことを引き起こし、心よりおわび申し上げます」と陳謝した。
母親は現在、健康を回復している。

医師の確保難しく
「奥能登に産科医が一人だけというのは尋常ではない。県内に産科医が少ない状況もある」。陳謝した上で坂口茂市長はそう強調した。
輪島、珠洲、穴水、能登の四市町には、分娩(ぶんべん)に対応できる医師はこの主治医しかいない。
県によると、産科・産婦人科医師はもう一人いるが、健診などを担う。

主治医は二〇〇五年夏から十六年八カ月勤務。
平日の午前八時半〜午後五時十五分に勤務し、時間外労働は毎月十時間ほどだったが、急患や患者の出産に備え、休日も待機要員として病院の近くにいる必要があった。
遠出をする場合は金沢大病院から産婦人科医を派遣してもらっていた。

市立輪島病院の品川誠院長は会見で「医師に負担がかかっているのは事実。一〜四月も夜の帝王切開による緊急手術が三件あり、ストレスがかかっている状態だ」と説明した。

病院によると、六年ほど前まで奥能登に三人の産科医がいたが、退職などで減った。河崎国幸事務部長は取材に「産科医に限らず、脳や心臓の高度な手術などができず、スキルアップを望む若手医師を確保できない面もある」と述べた。

金沢市内のあるベテラン産婦人科医は、医師の適正な配置ができていない態勢自体に問題があるとし「悲しい事故は再び起こりうる」と指摘する。
「同じ事故を起こさないためにはどうすれば良いのか、地域医療の維持について俯瞰(ふかん)的に考える必要がある」と話した。

 

 

「市立輪島病院」HPより

www.city.wajima.ishikawa.jp

市立輪島病院における医療事故について(お詫び)
公開日 2022年05月06日

 

令和3年6月2日に市立輪島病院産婦人科で発生しました分娩を巡る新生児の死亡事故に関する報道が令和4年5月6日にされました。
この度の医療事故において御遺族の皆様に対して心より深くお詫び申し上げます。

また、今回の医療事故により、当院をご利用されます皆様方に、大きな御不安と御心配をおかけすることとなりましたことについても深くお詫び申し上げます。

再びこのような医療事故が起こらないよう、医療安全の質の向上と再発防止策の徹底に努め、市民及び患者さまの信頼回復に繋がるよう職員一同努力して参りますので何卒よろしくお願いいたします。

令和4年5月6日
市立輪島病院院長 品川 誠


1 概要
妊娠35週の早産の時期にあたる妊婦が、令和3年6月2日早朝、体調に異変があったため来院し、そのまま入院されました。
その後、妊婦の病気(常位胎盤早期剥離)に気付かず、不適切な薬剤を投与したほか選択すべき医療行為(帝王切開)を行わない等により、母体及び胎児の状態が悪化し、最後の手段とした吸引分娩により、新生児は、重症新生児仮死という極めて危険な状態で産まれました。
即時、救命処置を行いながら石川県内の別の病院に搬送いたしましたが、翌日早朝、搬送先の病院でお亡くなりになられました。

 

2 経緯
速やかに外部の専門家の医師に医療事故調査委員会の委員に加わっていただき当該委員会を開催し、合計8回にわたり開催した委員会において、原因分析等を行い医療事故調査報告書を取りまとめました。
当該報告書においては、全面的に輪島病院に責任があるものとされ、先般、御遺族へ謝罪を行い報告書の内容について、御説明・御報告を終え、公表することに同意が得られたため、今般、公表いたすこととなりました。

 

3 再発防止策
① 産婦人科医が1名であるため、産婦人科医の不在時に院長等が対応できるよう緊急時などの妊婦の搬送基準を改定し、速やかに他院へ搬送します。
② 産婦人科医が緊急時にいつでも他院の医師に相談できる体制を整備します。
③ 医師や助産師等は、日頃から徹底した情報共有と意見交換に努めます。

 

問い合わせ先       
市立輪島病院 事務室  
電話 0768-22-2222(代表)