輪島たいむす

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2022年7月29日をもって「能登二幸」さんが閉店しました

「北國新聞」HPより

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●「生徒飽きさせない」挑戦続けた半世紀

輪島高そばの輪島市河井町のパン店「能登二幸(にこう)」が半世紀の営業に幕を下ろした。
種類が豊富で同校の購買でも扱われたパンは、多くの生徒の胃袋を満たしてきたが、30年以上愛用したオーブンが故障した7月29日、70代夫婦は急きょ店を閉めることにした。
夏休みに訪れたなじみの店との突然の別れに、在校生や卒業生から惜しむ声が上がっている。

能登二幸のスタートは和菓子店だった。
店主の松村幸吉さん(73)は中学卒業後、和菓子職人として8年の修業を経て1973年4月、23歳で河井町に店を構えた。
「輪島にいても金沢に負けない、おいしくておしゃれなものを食べてもらいたい」とパン職人を目指し、大阪などから講師を招いて勉強を重ねて、77年からパンや洋菓子を販売するようになった。

人気のコーンロールやボリューム満点のカツサンド、チョコチップフランスパンなどの定番商品をはじめ、お好み焼き風やシメジのクリーム煮が入ったパンなど種類は豊富。
「生徒や常連客を飽きさせたくない」と松村さんは新しい味に挑戦し続け、多い時には130種類を並べた。
部活前や土曜の昼には腹ごしらえにと生徒の行列ができ、明るく、おしゃべり好きな妻ふみゑさん(72)との会話目当てに訪れる常連もいた。

半世紀の歴史で、一度だけ長期間店を休んだことがある。
松村さんが56歳だった2005年暮れ、仕込み中に急性心筋梗塞で倒れた。
松村さんを心配した当時の輪島高生から寄せ書きが届き、激励文がびっしりと書かれた色紙や画用紙は今も夫婦の宝物だ。

70歳を過ぎて体力の衰えを感じていたものの、すぐに店を閉める考えはなく、7月28日は通常通り営業。
翌29日朝もオーブンの電源を入れたが、動かなかった。
「これも運命だ」と、閉店前に顧客にあいさつできなかったことは心残りだったが、のれんを下ろすことにした。

松村さん夫婦は「オーブンが先に限界を迎えていた。続けとったら体が壊れていたかもしれん。機械が助けてくれた。ここまでやれたことに感謝しかない」と話した。

能登二幸

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