輪島たいむす

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農耕儀礼「あえのこと」が営まれ今年の豊作を祈願しました

「北國新聞」HPより

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国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産である農耕儀礼「あえのこと」が9日、奥能登各地で営まれ、伝承する各家庭が田の神様を料理でもてなした後、雪に覆われた田んぼに送り出し、今年の豊作を祈願した。

輪島市白米(しろよね)町の民家では、紋付きはかまを着た主人の川口喜仙(よしのり)さん(57)が、昨年12月に自宅に招いた夫婦神に、輪島塗の膳に盛り付けたおはぎや煮物、尾頭付きのタイなどを振る舞った。

この後、川口さんは神様を自宅隣の棚田へと導き、「雪で真っ白になった田んぼにお送りするのは申し訳ありませんが、今年もよろしくお願いします」と語り掛け、10センチほどの雪が積もった田に米、塩、酒を順にまいてくわ入れをした。

新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置の適用下で儀礼に臨んだ川口さんは「無事に終えることができ、安心している。家族が元気で、おいしい米が実ってくれることをお願いした」と話した。

あえのこと

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奥能登地域(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の各家ごとに伝承されてきた農耕儀礼で、「あえ」はもてなし、「こと」は儀礼を意味するといわれ、稲の生育と豊作を約束してくれる「田の神」が、あたかもそこに実在するかのように行われる。
全国的に「田の神様」と呼ばれる神事が伝承されているが、奥能登のものは、古式と厳格さをとどめており、きわめて貴重なものである。一般的に、アエは神を供応する「饗」、コトはハレの行事を意味する「事」で、「饗の事」と考えられている。
収穫後の12月5日頃、主人が田まで田の神を迎えに行き、鍬を3回打ち込み、「田を守ってくださいましてありがとうございました。」などと、ねぎらいの言葉を述べ家に案内する。
風呂に入れ、湯加減などを聞きながら田の神の背中を流すような所作をする。
風呂が済むと、安置してある籾俵に座らせ、御膳を出す。主人は品目(新米で作った甘酒、二股大根など)を一つ一つ説明しながら田の神に食べさせ、目には見えない田の神を祀り、収穫に感謝する。
ころあいを見計らい、おさがりを家族でいただく。
田の神は、この籾俵、あるいは神棚で年を越すといわれ、耕作前の2月9日頃、再び風呂に入れ、御膳を供したりして、主人は田の神を田まで送っていき、豊作を願う言葉を述べる。
所作のいちいちに言葉掛けを行うのは、田の神は夫婦神で、稲穂で目を突いたとか、長い間暗い土の中で働いておられたために目が不自由であるとされるためである。
2009年(平成21年)「奥能登のあえのこと」として、ユネスコ無形文化遺産に登録。