「北國新聞」HPより
輪島市は20日までに、コロナ禍で作品発表や販売の機会を失った輪島塗の職人や作家を支援しようと、インターネット上に特設サイト「デジタル輪島工房長屋」を開設した。
作品紹介にとどまらず、手元を大写しにするなど手技を強調する画像や制作風景の動画を掲載。作り手や磨き上げた技に焦点を当て、丁寧な手仕事で仕上げられる輪島塗の奥深さを伝える。デジタル輪島工房長屋は、市から委託を受けた第三セクター「まちづくり輪島」が運営する。
コロナの影響で作品を展示販売する催事や企画展の中止が相次いでおり、ネットを活用して披露する場を設けた。20日時点で、木地、髹漆(きゅうしつ)、加飾の部門ごとに、若手からベテランまでの職人や作家計28人を紹介している。
ノミで精緻な模様を彫り込む沈金(ちんきん)や、ヘラで漆を均一に塗る作業、親指大のカンナで花台の脚などを削り出す職人の手元を写した画像など、創意工夫を重ねる姿や技にスポットを当てた構成になっている。愛用の道具や、工房内での作業風景を収めた動画も掲載されている。
今後、紹介する職人や作家の数を増やしていく予定だ。それぞれの作品はサイトに載せるとともに、同市河井町の施設「輪島工房長屋」にギャラリーを設け、一部の約30点を展示販売している。
現地では若手作家らによる作品紹介や制作の実演を計画している。市の担当者は「伝統的な製法を守りながら、さまざまな形で漆と向き合い、技を磨く作り手が輪島にはたくさんいる。そのことをアピールしたい」と話した。